施工管理技士の資格の種類と業務内容、取得難易度について
施工管理技士の資格の種類と業務内容、取得難易度について
施工管理技士は、建設現場において工事の進行を管理・監督するための国家資格で、建築物や土木構造物の品質、工程、安全、コストなどを総合的に管理する役割を担っています。この資格は建設業において非常に重要であり、特に大規模なプロジェクトや専門的な工事においては必須とされています。
施工管理技士の資格は、主に7つの分野に分かれており、それぞれに1級と2級の2つのレベルがあります。1級は大規模かつ複雑な工事を担当するために必要な資格で、2級は比較的小規模な工事を担当します。以下では、それぞれの資格の種類、業務内容、取得難易度について詳しく解説します。
施工管理技士の種類
建築施工管理技士
業務内容:
建築施工管理技士は、住宅や商業施設、オフィスビルなどの建築物の工事を管理する専門家です。具体的には、以下のような業務を担当します。
- 施工計画の立案:建物の設計図を基に、工事の具体的な進行計画を立てます。どの作業をいつ、どの順序で行うかを決定し、それに基づいて現場を指導します。
- 品質管理:設計通りに施工が進んでいるか、使用する材料や工法が適切であるかを確認し、品質の維持に努めます。
- 安全管理:工事現場での労働者の安全を確保するため、適切な安全対策を講じ、事故の予防に努めます。
- 工程管理:工事が予定通りのスケジュールで進むよう、各作業の進捗を監視し、必要に応じて調整を行います。
取得難易度:
- 1級建築施工管理技士:建築分野で最も権威のある資格で、大規模な建築プロジェクトを管理できる能力が求められます。試験は筆記と実技があり、特に筆記試験では法律、建築材料、工法など広範な知識が問われます。合格率は約30%と難易度が高いです。
- 2級建築施工管理技士:比較的小規模な建築物の工事管理を担当するための資格です。試験は1級に比べて簡易ですが、やはり実務経験が重要です。合格率は約40〜50%です。
土木施工管理技士
業務内容:
土木施工管理技士は、道路、橋梁、ダム、トンネルなどの土木工事を管理します。業務の内容は以下の通りです。
- 施工計画の立案:地形や地質に応じた工事計画を立て、効率的な工事が行えるようにします。
- 品質管理:コンクリートの強度やアスファルトの品質など、使用する材料が規格を満たしているかを確認します。
- 安全管理:土砂崩れや浸水など、自然災害のリスクが高い現場での安全対策を徹底します。
- 環境管理:工事が周辺環境に与える影響を最小限に抑えるための措置を講じます。
取得難易度:
- 1級土木施工管理技士:公共事業や大規模インフラプロジェクトを担当するための資格で、広範な土木知識と実務経験が求められます。筆記試験では、土木工学、測量、法規などが出題され、合格率は約25〜30%と非常に高難度です。
- 2級土木施工管理技士:小規模な土木工事の管理に必要な資格です。試験は基礎的な内容が中心で、実務経験を積んだ後の取得が一般的です。合格率は約40〜50%です。
電気工事施工管理技士
業務内容:
電気工事施工管理技士は、ビルや工場、公共施設などの電気設備工事の管理を行います。具体的な業務は以下の通りです。
- 電気設備の設計管理:電気回路や配線図の作成、設計に基づく工事計画の立案。
- 工事監督:設計図通りに電気設備が施工されるように現場を監督し、安全に作業が進むよう指示を出します。
- 品質管理:使用する電気機器や材料の品質確認、設置後の動作チェックを行います。
- 安全管理:感電事故や火災など、電気工事特有のリスクに対する安全対策を徹底します。
取得難易度:
- 1級電気工事施工管理技士:大規模な電気工事の管理を担当する資格で、電気工学の深い知識が必要です。試験では、電気理論、設備工事、施工管理技術が問われ、合格率は約30%と難易度が高いです。
- 2級電気工事施工管理技士:中小規模の電気工事を管理するための資格です。試験は基礎的な内容が中心で、比較的取得しやすいですが、実務経験が必要です。合格率は約40〜50%です。
管工事施工管理技士
業務内容:
管工事施工管理技士は、空調、給排水、衛生設備などの管工事を管理します。業務の詳細は以下の通りです。
- 施工計画の立案:建物の配管設計に基づき、効率的な工事計画を立てます。
- 品質管理:配管の取り付け精度や使用する材料の品質を確認し、漏水や詰まりなどの不具合を防ぎます。
- 安全管理:高所での配管作業や、ガス管の施工などリスクの高い作業に対する安全対策を徹底します。
- 工程管理:他の工事と調整しながら、配管工事が予定通りに進むように管理します。
取得難易度:
- 1級管工事施工管理技士:大規模な設備工事の管理を担当する資格で、配管技術や設備全体の知識が必要です。試験は配管工学、施工管理技術、法規などが出題され、合格率は約30%です。
- 2級管工事施工管理技士:小規模な管工事を管理するための資格です。試験は1級に比べて基礎的な内容で、実務経験を積んだ上で取得しやすい資格です。合格率は約40〜50%です。
造園施工管理技士
業務内容:
造園施工管理技士は、公園や庭園、緑地帯の造園工事を管理します。主な業務内容は以下の通りです。
- 施工計画の立案:自然環境に配慮した植栽計画や、土地の特性に応じた造園設計を行います。
- 品質管理:植物の選定や土壌の管理、景観を維持するための技術的な指導を行います。
- 環境管理:工事が周辺環境に与える影響を最小限に抑え、自然保護や生態系の維持に努めます。
- 安全管理:造園工事特有のリスクに対する安全対策を講じます。
取得難易度:
- 1級造園施工管理技士:大規模な造園プロジェクトの管理を担当するための資格です。植物学や土木工学に関する深い知識が必要で、試験の合格率は約25〜30%です。
- 2級造園施工管理技士:小規模な造園工事を管理するための資格で、比較的取得しやすいです。合格率は約40〜50%です。
建設機械施工管理技士
業務内容:
建設機械施工管理技士は、クレーン、ブルドーザー、ショベルカーなどの建設機械を使用する工事の管理を行います。主な業務内容は以下の通りです。
- 機械の運用計画:工事の効率を最大化するために、どの機械をどのタイミングで使用するかを計画します。
- 機械の保守管理:機械が安全に稼働するように、定期的な点検やメンテナンスを行います。
- 安全管理:機械操作による事故を防ぐための安全対策を講じ、作業員への指導を行います。
- 工事進捗の管理:機械を使用した工事が計画通りに進むよう、全体の進行を監督します。
取得難易度:
- 1級建設機械施工管理技士:建設機械の運用や保守、工事管理に関する高度な知識が求められます。試験は機械工学や施工技術、安全管理が中心で、合格率は約30%です。
- 2級建設機械施工管理技士:中小規模の機械工事を管理するための資格で、基本的な知識と実務経験があれば取得しやすいです。合格率は約40〜50%です。
まとめ
施工管理技士の資格は、建設業界において非常に重要な役割を果たす資格であり、それぞれの分野において高度な知識と技術を証明するものです。特に1級の資格は難易度が高く、その取得には相当の努力と経験が求められますが、それだけの価値があり、キャリアアップの大きな武器となります。
施工管理技士の資格取得に向けては、まずは実務経験を積みながら、計画的に学習を進めることが重要です。将来的に大規模なプロジェクトに携わることを目指して、早い段階から資格取得に向けた準備を進めることをおすすめします。資格取得が成功すれば、建設業界での信頼性が高まり、さらなるキャリアアップの道が開けるでしょう。
この記事を書いた人
建キャリNEXT シニアアドバイザー
梶井 龍一郎
大学を卒業後、企画営業に従事、転職し20年以上人材業界に携わる。
現在は建設業界の技術者をメインとしたキャリアサポートと人材教育を10年以上行っており、累計6,000人以上の転職支援をサポートしている。
東京都出身、二児の父。
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