管工事施工管理技士とは?資格難易度や平均年収についても解説!
管工事施工管理技士とは?資格難易度や平均年収についても解説!
日本の建設業界において、管工事は建物やインフラを支える重要な要素の一つです。その現場を管理・監督する専門家が「管工事施工管理技士」です。この資格は、給排水、空調、ガス、冷暖房設備など、建物の生活インフラを支える配管工事において、安全かつ効率的に作業を進めるための専門知識と技術を持つことを証明するものです。この記事では、管工事施工管理技士の役割、資格の難易度、平均年収について詳しく解説します。
1. 管工事施工管理技士とは
管工事施工管理技士は、建物や施設における配管設備の工事を管理・監督する資格者です。具体的には、水道や排水、空調、ガス、冷暖房システムの管工事に携わり、それらの工事が適切かつ安全に実施されるよう、現場の指揮を執ります。管工事施工管理技士は、工事が設計図通りに進行するか、労働者が安全に作業を行っているか、品質が確保されているかを確認する責任を負っています。
業務内容には以下のようなものが含まれます。
- 設計図に基づく工事計画の立案
- 工事現場の安全管理
- 工事進捗の管理
- 品質やコスト、納期の管理
- 完了後の検査やメンテナンス対応
管工事施工管理技士は、工事現場の責任者として、工事が計画通りに進むよう全体をコントロールします。そのため、現場でのリーダーシップやトラブル対応能力が求められ、建設業界において非常に重要なポジションを担います。
2. 管工事施工管理技士の階級
管工事施工管理技士には「1級」と「2級」の2種類があり、それぞれ資格を持つことで担当できる工事の規模や責任範囲が異なります。
・1級管工事施工管理技士
1級は、大規模な工事や複雑なプロジェクトの管理が可能な資格です。この資格を持つことで、公共工事や大規模商業施設の工事を管理する主任技術者や監理技術者として活動できます。1級取得者は工事全体の統括を行い、プロジェクトの成功に向けて責任を持ちます。特に、建築物の中で最も重要な設備である給排水や空調システムの工事では、1級施工管理技士の存在が欠かせません。
・2級管工事施工管理技士
2級は、小規模な工事やサブ的なプロジェクトの管理が主な業務です。2級資格を持つことで、比較的小さな建物の工事を担当したり、1級技士のサポートとして業務に当たることができます。また、実務経験を積みながら1級を目指すためのステップとしても重要な資格です。
3.資格取得の難易度
管工事施工管理技士の資格試験は、1級と2級で異なる難易度があります。どちらも筆記試験と実地試験があり、実践的な知識が必要です。
1級管工事施工管理技士の合格率
1級管工事施工管理技士の合格率は、例年10%前後と非常に低くなっています。
令和5年度(2023年度)の1級管工事施工管理技士試験の合格率は下記の通りです。
- 第一次検定(旧学科試験)の合格率:37.5%
- 第二次検定(旧実地試験)の合格率:62.1%
参考:総合資格学院「1級管工事施工管理技術検定の合格率について」より抜粋
https://www.shikaku.co.jp/course/kankoji-1k/info/gokaku/
2級管工事施工管理技士の合格率
2級管工事施工管理技士の合格率は1級と比べると高くなりますが、それでも決して容易ではありません。
令和4年度(2022年度)の2級管工事施工管理技士試験の合格率
- 第一次検定(旧学科試験)の合格率:56.6%
- 第二次検定(旧実地試験)の合格率:59.7%
参考:総合資格学院「2級管工事施工管理技士 試験の合格率の推移」より抜粋
https://www.kensetsu-kikin.or.jp/html/examination/installation_management/r5_2_results.html
4. 管工事施工管理技士の平均年収
管工事施工管理技士の年収は、資格の等級や担当する工事の規模、経験年数などに左右されます。
1級管工事施工管理技士の年収
1級の資格を持つ管工事施工管理技士の平均年収は400万円から700万円程度です。特に大手ゼネコンや公共工事の現場で働く場合、年収が1000万円を超えることも珍しくありません。管理する工事の規模や責任の重さに応じて報酬も上がるため、経験と共に収入が向上する傾向にあります。
2級管工事施工管理技士の年収
2級管工事施工管理技士の場合、平均年収は300万円から600万円程度です。2級でも十分な収入が得られますが、やはり1級に比べると責任範囲が限定されるため、収入にも差が生じます。経験を積み、1級資格を取得することで大幅な年収アップが期待できます。
今後の需要と展望
管工事施工管理技士の需要は今後も高まると予想されています。日本のインフラの老朽化や再開発の進行に伴い、給排水や空調、エネルギー効率の高い設備工事が増加するためです。また、災害に備えた耐震補強や設備の見直しが進む中、管工事の重要性はさらに増しています。
加えて、環境問題に対応した省エネルギー技術の導入や、IoTを活用したスマート設備の普及が進んでおり、新たな技術を活用した配管工事の管理が求められています。これにより、最新技術に対応できる管工事施工管理技士のスキルはますます価値を持つようになるでしょう。
まとめ
管工事施工管理技士は、建物やインフラの中核を支える配管設備の工事を統括する重要な役割を担っています。1級・2級それぞれに応じた責任範囲があり、特に1級資格は高い技術力と管理能力を証明するものです。
資格試験は決して簡単ではありませんが、現場での実務経験を積みながら挑戦することで、キャリアの幅を広げることができます。また、今後の建設業界での需要の増加により、管工事施工管理技士の役割はますます重要になるでしょう。
資格を取得することで、高い年収と安定したキャリアを築くチャンスが広がるため、施工管理の分野で長く活躍したいと考えている方にとって、非常に有益な資格です。
この記事を書いた人
建キャリNEXT シニアアドバイザー
梶井 龍一郎
大学を卒業後、企画営業に従事、転職し20年以上人材業界に携わる。
現在は建設業界の技術者をメインとしたキャリアサポートと人材教育を10年以上行っており、累計6,000人以上の転職支援をサポートしている。
東京都出身、二児の父。
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